私の母は、祖父(母にとっては父)を嫌っていた。

祖母は良家のお譲さんだったが、祖父に見初められて半ば略奪された形での結婚だったらしい。

祖父は情熱家で、自分の血でしたためた恋文を祖母に送ったという。

それほどまでに情熱的に愛し、奪ったのに祖父は祖母を大事にはしなかった。

祖父は女にだらしなかったのだ。

女のところに転がり込み、しばらく帰ってこない。

困窮する生活。お嬢さん育ちの祖母には、どんなに辛い生活だったか想像はつく。

祖父は、ふらっと祖母の元に帰ってきては、また出ていく。

そんな時には、大抵兄弟が増えていたという。

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「子供を作りに帰ってきているのか」そんな近所での陰口を聞きながら多感な年ごろを過ごした母。

しかも祖父は病気がちになった祖母と離縁し、新しい家庭を築いた。

お互い連れ子を抱えた再婚同士。

母が祖父や継母に嫌悪感を持つのも当然と言える。

でも、そんなことを知ったのは私が大人になってから。

私が小さい頃はお正月に祖父宅に親族が集まってよく食事会を開いていた。

どこにでもある風景。

和やかなようで、ぴりりとした緊張感があるのは幼い私でも何となく気づいていた。

母が、継母の連れ子(母にとっては異母姉妹)に気を使うべく、私を利用したことがあったからだ。

私はその理不尽な仕打ちに、なぜなのか分からず、ただただ泣くしかなかった・・・

つづく

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